鍼に電気を流すパルス治療とは?効果・痛み・禁忌を鍼灸師が解説

こんにちは。【所沢肩こり腰痛マッサージ鍼灸院】鍼灸師の熊谷です。→熊谷陸の経歴・実績はこちら
鍼灸院で行われる施術の一つに、刺した鍼へ電気を流す「パルス治療」があります。
電気を流すと聞くと、
「ビリビリして痛そう」
「普通の鍼治療と何が違うの?」
「身体に電気を流しても大丈夫?」
と不安に感じる方もいらっしゃると思います。
パルス治療は、正式には「低周波鍼通電療法」や「鍼通電療法」と呼ばれます。身体に刺した鍼へ低周波の電気刺激を加え、筋肉や神経へ一定のリズムで刺激を与える施術方法です。
この記事では、パルス治療の仕組みや期待できる効果、施術中の感覚、禁忌・注意事項について鍼灸師が分かりやすく解説します。

目次
パルス治療とは?

パルス治療とは、身体に刺した2本の鍼を電極としてつなぎ、低周波の電気刺激を流す施術方法です。
全日本鍼灸学会の安全対策ガイドラインでは、低周波鍼通電療法を「生体に刺入した2本の毫鍼を電極として、低周波の電気刺激を与える療法」と定義しています。
一般的な鍼治療では、鍼を刺す、動かす、一定時間置くといった方法で身体へ刺激を与えます。
一方、パルス治療では鍼に一定のリズムで電気刺激を流すため、施術者が鍼を動かし続けなくても、狙った筋肉やその周辺へ持続的な刺激を加えられる点が特徴です。
「パルス」という言葉は単に電気そのものを意味するのではなく、一定の間隔で繰り返される電気信号を指します。
パルス治療と電気治療の違い
整形外科や接骨院などで受ける一般的な電気治療は、皮膚の表面にパッドを貼って電気を流します。
これに対してパルス治療では、筋肉へ刺した鍼を通して電気刺激を加えます。
そのため、皮膚表面からの刺激だけでは届きにくい深い位置の筋肉を狙いやすいことが特徴です。
ただし、刺激が深いからといって、すべての症状に対して通常の鍼治療より優れているわけではありません。症状の原因や身体の状態によっては、電気を流さない鍼治療やマッサージ、運動療法などを選択したほうが適している場合もあります。
パルス治療で期待できる3つの効果
パルス治療では、主に次のような効果が期待できます。
1.筋肉の緊張を和らげる
パルス治療では、電気刺激によって筋肉が一定のリズムで収縮と弛緩を繰り返します。
肩こりや腰痛がある方の中には、身体の深い位置にある筋肉が緊張し、自分ではうまく力を抜けなくなっている方もいらっしゃいます。
そのような筋肉を狙って鍼を刺し、身体の状態に合わせて電気刺激を加えることで、過度な緊張が和らぎ、動かしやすくなることがあります。
ただし、筋肉が硬いからといって必ずパルス治療を行うわけではありません。痛みの原因が関節や神経、炎症、内科的な病気などにある場合もあるため、施術前の確認が重要です。
2.痛みを和らげる
パルス治療は、痛みを伝える神経や、身体が本来持っている痛みを抑える仕組みに働きかけることで、痛みを和らげる可能性があります。
鍼通電療法については、腰痛などの痛みに対する臨床研究も行われていますが、効果には症状や研究条件による違いがあります。すべての方に同じ結果が得られるわけではありません。
当院では、痛みの場所だけに電気を流すのではなく、姿勢や動作、筋肉の緊張、関節の動きなどを確認したうえで施術部位を判断します。
3.筋肉を動かしやすくする
筋肉の緊張が和らぐことで、首や肩、腰、股関節などの動かしにくさが軽減することがあります。
例えば、肩を上げるときに特定の筋肉が強く緊張している場合、その筋肉へ適切な刺激を加えることで、施術後に動作が行いやすくなることがあります。
ただし、パルス治療によって直接「正常な可動域へ戻る」とは限りません。
関節そのものの変形や炎症、神経症状、長期間の運動不足などが関係している場合には、関節への施術や運動、日常生活の見直しも必要です。
パルス治療はどのような症状に使われる?
鍼灸院では、主に次のような症状に対してパルス治療を使用することがあります。
・肩こり
・首こり
・慢性的な腰痛
・坐骨神経痛に伴う痛みや筋緊張
・四十肩、五十肩に伴う筋肉の緊張
・スポーツによる筋肉の疲労
・腕や脚の張り
・筋肉の緊張による動かしにくさ
ただし、同じ「肩こり」や「腰痛」であっても、原因や症状の程度は人によって異なります。
そのため、当院では全員にパルス治療を行うのではなく、問診や身体の状態を確認し、必要性があると判断した場合にご提案しています。
パルス治療は普通の鍼より効果が高い?
パルス治療を加えたからといって、必ず通常の鍼治療より効果が高くなるわけではありません。
パルス治療が適しているかどうかは、症状や施術の目的によって異なります。
例えば、広い範囲の筋肉を一定のリズムで刺激したい場合には、パルス治療が適していることがあります。
一方で、刺激に敏感な方、急性の炎症が疑われる方、細かな身体の反応を確認しながら施術したい場合には、電気を流さず鍼の刺激量を細かく調整することもあります。
重要なのは「電気を流すかどうか」ではなく、その方の身体に必要な刺激を適切に選択することです。
パルス治療は痛い?
パルス治療では、一般的に「ビリビリと痛い」というよりも、筋肉が「トン、トン」と一定のリズムで動くような感覚があります。
刺激の感じ方には個人差がありますが、
「筋肉を軽くたたかれているような感覚」
「筋肉がゆっくり動いている感じ」
「思っていたよりも心地よい」
と感じる方もいらっしゃいます。
電気の強さは、患者様の感覚や筋肉の反応を確認しながら調整します。
強いほど効果が高くなるわけではありません。痛みや不快感を我慢して受ける必要はありませんので、刺激が強く感じる場合はすぐに施術者へお伝えください。
パルス治療に副作用はある?
パルス治療は、国家資格を持つ鍼灸師が身体の状態を確認し、適切な方法で行うことが大切です。
薬による副作用とは性質が異なりますが、鍼治療や電気刺激によって、一時的に身体の反応が現れることがあります。
具体的には、次のような症状がみられる場合があります。
・鍼を刺した場所の痛み
・少量の出血
・内出血
・施術後のだるさ
・一時的な筋肉痛のような感覚
・眠気
・気分不良やめまい
また、通電中の刺激が強すぎると、不快感や痛みを感じることがあります。
当院では、施術中も刺激の感じ方や身体の反応を確認しながら、電気の強さや施術時間を調整しています。刺激を強く感じた場合は、我慢せずにお伝えください。
施術後に現れるだるさや眠気、筋肉痛のような感覚については、鍼治療後の一時的な反応として「好転反応」と呼ばれることがあります。
ただし、施術後に起こるすべての不調が好転反応とは限りません。症状が強い場合や長く続く場合には、我慢せず施術を受けた鍼灸院へ相談することが大切です。
パルス治療を受けられない人はいる?
パルス治療には、受けられない方や慎重な判断が必要な方がいます。
ペースメーカーや植込み型除細動器を使用している方
ペースメーカーや植込み型除細動器など、体内に植込み型医療機器を使用している方には、パルス治療を行うことができません。
電気刺激によって医療機器が誤作動する可能性があるためです。
全日本鍼灸学会の安全対策ガイドラインでも、ペースメーカーや除細動器などの植込み型医療機器を使用している患者へ鍼通電を行ってはならないとされています。
ペースメーカーを使用している方でも、電気を流さない通常の鍼治療を検討できる場合はありますが、施術部位や身体の状態を慎重に確認する必要があります。
必ず予約時または施術前にお伝えください。
意思疎通が十分にできない方
パルス治療では、刺激の強さや不快感の有無を確認しながら施術を行います。
そのため、ご本人が刺激の強さを適切に伝えることが難しい場合には、安全性を考慮してパルス治療を控えることがあります。
安全対策ガイドラインでも、刺激量の判断が困難になるため、十分な意思疎通ができない方への鍼通電は控えることが望ましいとされています。
心電図などの装着型医療機器を使用している方
心電図など、身体に装着する医療機器とパルス治療を同時に使用すると、機器へ影響を及ぼす可能性があります。
検査機器や医療機器を装着している場合は、施術前に必ず鍼灸師へお伝えください。
パルス治療を慎重に判断する人
次の方は一律に禁忌とは限りませんが、身体の状態や施術部位を確認し、慎重に判断する必要があります。
妊娠中の方
妊娠中だからといって、すべての鍼治療やパルス治療が一律に禁止されているわけではありません。
一方で、妊婦への鍼灸施術は安全性について不明な点もあり、強い刺激や腹部周囲への施術には特に注意が必要とされています。
妊娠中または妊娠の可能性がある方は、必ず施術前にお申し出ください。妊娠の時期や体調によっては、パルス治療を行わず、刺激の少ない施術をご提案します。
必要に応じて、かかりつけの産婦人科医へご相談いただく場合もあります。
人工関節などの人工物が入っている方
人工関節があることだけを理由に、身体のすべての部位でパルス治療が禁止されるわけではありません。
ただし、感染や組織損傷を防ぐため、人工関節や人工血管などが埋め込まれている部位への直接的な刺鍼は避け、周辺への施術も慎重に判断する必要があります。
手術歴や人工関節の位置を施術前にお伝えください。
心臓病や不整脈がある方
心臓や循環器の病気がある方は、病状や施術部位によってパルス治療が適さない場合があります。
治療中の病気や服用中の薬がある場合は、自己判断せず事前にご相談ください。
てんかんやけいれんの既往がある方
電気刺激に対する安全性を確認する必要があるため、てんかんやけいれんの既往がある方は事前にお申し出ください。
特に頭部や頸部周囲への通電については、慎重な判断が必要です。
皮膚の感染や強い炎症がある方
発赤、腫れ、熱感、化膿などがある部位には、鍼を刺したり電気を流したりすることはできません。
感染症や強い炎症が疑われる場合には、鍼灸施術よりも医療機関での診察を優先していただくことがあります。
美容鍼でもパルス治療は使われる?

美容鍼では、顔へ刺した鍼に低周波の電気刺激を流す方法が行われることがあります。
表情筋を一定のリズムで動かすことにより、施術直後にフェイスラインや表情の変化を感じる方もいらっしゃいます。
ただし、「老廃物を流す」「たるみやほうれい線を治す」「肌のターンオーバーを正常化する」といった効果を断定することはできません。
顔面神経麻痺にパルス治療は効果がある?
顔面神経麻痺に対する鍼治療や鍼通電療法については、効果を示唆する研究がある一方で、研究の質や方法にばらつきがあり、確実な効果が確立しているとは言い切れません。
また、顔面神経麻痺は、発症後できるだけ早く医療機関で診断と治療を受けることが重要です。
顔の片側が動かしにくい、口元が下がる、目を閉じにくいといった症状が現れた場合は、まず耳鼻咽喉科や脳神経内科などの医療機関を受診してください。
鍼灸治療を検討する場合も、医療機関での治療を中断せず、補助的な選択肢として担当医と相談しながら進めることが大切です。
当院でパルス治療を行う際に大切にしていること
所沢肩こり腰痛マッサージ鍼灸院では、最初からすべての方へパルス治療を行うわけではありません。
まずは症状の経過や日常生活、既往歴、服用中の薬などを伺い、姿勢や動作、筋肉、関節の状態を確認します。
そのうえで、
・どの筋肉へ施術するのか
・電気を流す必要があるのか
・どの程度の刺激量が適切か
・マッサージや関節への施術を併用するか
を判断します。
また、パルス治療を行う際は、鍼通電に対応した使い捨ての鍼と、認証された医療機器を使用することが安全対策として重要です。全日本鍼灸学会のガイドラインでも、滅菌済みのステンレス製単回使用鍼と、鍼電極低周波治療器として認証された医療機器の使用が求められています。
電気刺激が苦手な方には、無理にパルス治療を行うことはありません。電気を使用しない鍼治療やマッサージなど、身体の状態やご希望に合わせて施術方法をご提案します。
パルス治療に関するよくある質問
電気は強いほうが効果がありますか?
電気刺激は、強ければ強いほど効果が高くなるわけではありません。
刺激が強すぎると身体に余計な力が入り、痛みや不快感につながることもあります。筋肉の反応と患者様の感覚を確認しながら、無理のない強さに調整します。
何分くらい電気を流しますか?
症状や施術部位によって異なりますが、一般的には数分から15分程度行うことがあります。
当院でも身体の反応を確認しながら時間を調整します。必ず10分流せばよいというものではありません。
パルス治療を受けた日は運動してもよいですか?
軽い日常動作であれば問題ないことが多いですが、施術後は筋肉の感覚や動かしやすさが変化する場合があります。
施術当日に激しい運動を行う予定がある場合は、事前に鍼灸師へお伝えください。症状や競技内容に合わせて判断します。
電気が苦手でも鍼治療は受けられますか?
パルス治療を使用せず、通常の鍼治療を受けることもできます。
不安や苦手意識がある場合は、施術前に遠慮なくお伝えください。
まとめ
パルス治療とは、身体に刺した鍼を電極として、低周波の電気刺激を流す施術方法です。
筋肉へ一定のリズムで刺激を加えることで、筋肉の緊張を和らげたり、痛みを軽減したり、身体を動かしやすくしたりする効果が期待できます。
施術中は、強くビリビリするというよりも、筋肉が「トン、トン」と一定のリズムで動くような感覚が一般的です。刺激の強さは調整できますので、痛みや不快感を我慢する必要はありません。
一方で、ペースメーカーや植込み型除細動器を使用している方には、機器の誤作動を防ぐためパルス治療を行うことができません。
妊娠中の方や人工関節がある方、心臓病、てんかんなどの既往がある方については、一律に判断するのではなく、身体の状態や施術部位を確認したうえで慎重に検討します。
所沢肩こり腰痛マッサージ鍼灸院では、パルス治療ありきで施術を組み立てるのではなく、症状や身体の状態を確認し、その方に必要な施術方法をご提案しています。
鍼に電気を流すことへの不安や、持病・医療機器に関するご心配がございましたら、施術前にお気軽にご相談ください。
【所沢肩こり腰痛マッサージ鍼灸院】鍼灸マッサージ師 熊谷 陸
この記事を書いた人
あん摩マッサージ指圧師免許証(国家資格 厚生労働大臣認定 第146112号)
はり師免許証(国家資格 厚生労働大臣認定 184484号)
きゅう師免許証(国家資格 厚生労働大臣認定 第184295号)
公益社団法人 日本鍼灸師会 会員
公益社団法人 埼玉県鍼灸師会 会員
所沢市鍼灸師会 会員
サウナマイスター
習字 2段
書記 2段
空手 茶色帯
◯実績
FCバルセロナアカデミートレーナー帯同
MLBロサンゼルス・エンゼルス研修
ZUMBAカンファレンストレーナー帯同
東急スポーツサッカートレーナー帯同
おこしやす京都トレーナー帯同
社会人野球部トレーナー研修
都内鍼灸接骨院にて院長